初版 2021年8月25日
改版 2022年1月1日
(DX推進体制について一部追記)
改版 2023年8月15日(取組状況等を最新情報に更新)

株式会社アルファパーチェス
代表取締役社長 多田 雅之

1. 産業用(B to B)MRO調達のDXへの貢献

当社は、西暦2006年に基本理念を「わたしたちは、MRO(メンテナンス リペア&オペレーション)を中心とする包括的な商品とサービスを提供することを通じ、サプライヤー、そしてパートナーとともに、お客様の価値の創造と間接コストの削減を実現し、日本の産業の変革と再活性化に貢献します。」と定めています。

基本理念には記載がありませんが、当社の事業は、最新のデジタル技術を駆使し、お客様とサプライヤー様/パートナー様をネットワークで接続し、取引の電子化を進めることによって、ロングテール(多品種少量)商品・サービスを効率的にお届けする業態です。ロングテール商材は取引額は小さくとも、品目数や取引先数は膨大になり、商材選定・発注・支払のためのコストがかさみます。ここにデジタル技術、自動化技術を投入し、同時に取引帳合を当社経由に集中化することにより、お客様はワンストップで何でも買えて、支払も一本で済み、サプライヤー様は、多数の小口注文を当社がまとめて発注するために口座設定、与信管理、入金照合等の手間をかけることなく、取引の大口化が図れます。

当社は、2000年の創業より一貫して、このB to B型デジタル取引プラットフォームを活用したサプライチェーン全体の革新を提唱し、日本の産業全般のDX(Digital Transformation)化への貢献を目指して活動してまいりました。しかしながら、当社の力不足から、創立後20年を経過した現時点でも、未だ日本のB to B MRO領域のDXは充分な進展をみせておらず、当社の目標である「日本産業の変革」は未了です。

今般、経済産業省主導により日本の産業全体のDXの推進が国家目標として掲げられたことから、これを機会に、当社の先進サービスの有用性を幅広いお客様にご理解頂き、当社のB to B デジタル取引プラットフォームの利用者や商材数を大きく増やすことによって、その効率性、利便性、および経済効果を高め、お客様、サプライヤー様、パートナー様とともに、先進デジタル技術を駆使したサプライチェーン全体の革新を進めて参る所存です。

2. MROサプライチェーン全体の革新に向けて

当社は、MRO(メンテナンス リペア&オペレーション)領域のロングテール商材及びサービスを「より効率的に、適切に、そして安価に」購買できる電子プラットフォームを構築し、そのプラットフォームに参画するお客様、サプライヤー様、パートナー様をネットワーク上で相互接続することを通じ、サプライチェーン全体の革新を進めることをミッションとしています。

その電子プラットフォームにつき、現在、①クラウド化、②マイクロサービス化、③サプライヤ・ポータル等の情報系サービスの強化、④サプライチェーン全体のマスターデータ管理の拡張、⑤在庫情報等のリアルタイム/ニア・リアルタイムの連携、等を進めつつあり、サプライチェーン全体のより緊密な連携化を進めております。これらのシステム構築が進めば、全てのお取引当事者が、より迅速で効率的な取引を、より多くの商材で行うことができ、日本のMRO領域の取引形態を大きく変える変革が実現可能と考えています。

より長期的には、⑥お取引先様の内部統制強化への寄与やESG対応、⑦取扱商品・サービスの拡大、⑧ビッグデータを活用した適切な取引先レコメンデーション等、プラットフォーム全体の更なる価値向上にも取り組む計画で、そのための基礎的な開発も進めて参ります。

これらの開発を通じて、当社のプラットフォームを活用するMRO取引の規模を拡大し、より多くのお取引様、商材が通過する日本最大のB to B MRO取引プラットフォームへと育成し、日本のMROサプライチェーン全体の革新を進めたいと願っています。

3. DX推進体制

  • ・DX推進を含めた事業改革を主要ミッションとして、事業改革室を2021年1月に設置致しました。
  • ・全社の技術や開発方針をグループCTOを中心として議論するテクノロジー戦略会議を 2021年2月に設置致しました。
  • ・2022年1月1日付で、事業改革室の機能と人員の増強を行い、事業改革グループへと名称変更致しました。
  • ・2023年4月1日付で、事業改革グループをDX推進室へと改称し、名実ともにDX推進を中核ミッションとしました。

4. DX推進のための環境整備

(1) システム面の整備
以下の計画を策定し、実行中です。
  • 1) 既存の電子商取引プラットフォームの①クラウド化、②マイクロサービス化、③サプライヤ・ポータル等の情報系サービスの強化、④サプライチェーン全体のマスターデータ管理の拡張、⑤在庫情報等のリアルタイム/ニア・リアルタイムの連携、等を推進。
    開発期間は長期に及びますが、2024年中に一部機能の商用サービス化を実現します。
  • 2) より長期的には、⑥お取引先各位の内部統制強化への寄与やESG対応、⑦取扱商品・サービスの拡大、⑧ビッグデータを活用した適切な取引先レコメンデーションなどを構想しており、2025年以降の実用化を目指して開発を進めます。
(2) 人材面の整備(DX人材の確保・育成)
  • 当社および日本全体のMROサプライチェーンのDX推進に寄与する社員の採用・育成や外部人材活用を進めます。DX推進室は設立から2年半で室員は10名を超え、更に人員増強中です。プログラミングやITシステム構築の経験がなくとも、ポテンシャルの高い人材であれば、短期間にDX推進の中核戦力にできています。また、当社の取引先のITベンダーには、業務理解力と構想力に優れたアーキテクト型の人材が多く、社外人材との協業は高い効果を生んでいます。更に、既存の事業部門でも、ノーコードあるいはローコード型のクラウド型ITプラットフォームを用いたアプリ開発を進めており、DX人材を全社で幅広く増強中です。

5. 戦略の達成に向けた指標

当社の目標は、当社の電子商取引プラットフォームの利用者拡大による価値向上ですから、その達成指標としては売上高の成長を目標としています。具体的には2021年(暦年)以降、毎年二桁%の売上成長を目指します。

システム投資については、2021~2024年(暦年)の累計投資を20億円以上投入することを計画しており、その原資調達のため、2022年12月には東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場し、約9.4億円の資金を調達しました。

6. 最新の取り組み状況

2021年8月25日に「当社のDXへの取り組み」を公表して以来、当社B to Bデジタル取引プラットフォーム「APMRO」のお客様による利用と、同システム上での取扱商材数拡大は順調に進んでおります。

しかしながら、お客様の価値創造とコスト削減への貢献を目指したサプライチェーン全体の革新を進めるためには、一層のお客様とサプライヤー様の当社プラットフォームへの参画が必須であり、この点が今後のDX推進上の最大の課題と認識しております。

基幹システムのクラウド基盤への移植とマイクロサービス化については、複数の基幹システムをデータセンター(オンプレミス)から外部の大規模クラウド環境(クラウド)へ移管する作業が進んでおり、新規開発のマイクロサービスの基幹システムとの連携も始まっています。システム全体のクラウド・マイクロサービス版への全面刷新には多大の費用がかかることから、費用対効果をみながら、必要性の高いサービスからリリースを進めて参ります。

DX推進人材の増員については、外部人材の確保と協業が進んでいますが、足元、DX人材は獲得競争となっており、即戦力人材の確保は難しいことから、採用に加え教育・育成の強化により、DX人材層を厚くする方針を展開中です。

当社では上記のような課題認識の下で、早期のDX実現に向けた諸施策を進めており、当社のミッションである「日本の産業の変革と再活性化」への貢献に向け、今後とも邁進してまいります。